「乾貨(ガンフォ)」は、中国料理において「乾燥材料、乾物類」を指します。
中国では特に海産物の乾物を「貨幣に匹敵する価値を持つもの」として「乾貨」と呼んできました。
「乾貨」は大半が高級かつ希少であり、中国料理には欠かせないものとなっています。

「高級な中華料理」というと、「フカヒレ」を思い出す方が多いのではないでしょうか?
フカヒレも乾燥させたサメのひれを調理したものですので、「乾貨」の一種です。

他にも、干しアワビ・干しナマコ・干し貝柱・干しエビなど、中国料理では様々な「乾貨」がメニューで利用されます。
また、中国の乾物屋さんなどでは、アワビ・フカヒレなどと言った水産物の他にも、野菜の乾物(かんぴょうなど)や、キノコ(しいたけ)や果物(マンゴーやプルーン)の乾物なども取り扱われています。

何故、「乾貨」はお金にも例えられる程に重宝されているのでしょうか?

まずひとつめは、「乾貨」は材料の保存、輸送に便利だからということが挙げられます。
生鮮食品の保存技術がない時代、産地から遠い地域でその食材を食べるということは、とても難しいことでした。しかし、乾燥させることで保存がきく食材へと生まれ変わると、遠方への輸送が可能となります。海から離れた地域に住んでいる人でも、海産物が手に入る様になります。

また、乾物にすることで嵩が減少するのでストックがしやすくなり、いつでもどこでも食べられるという利点もあります。

もうひとつ「乾貨」が重宝される理由は、生の食材では味わえない風味と歯ごたえ、そして栄養を得られることです。
例えば、干しアワビは生の時はコリコリとした食感ですが、干すとねっちりとした食感に変化します。
また、干し椎茸のように生の時よりも栄養価が上昇する材料もあります。
生の食材とは違う、乾燥させないと楽しむことができない味があるのです。

また「乾貨」は、乾燥させる技術は勿論、調理する際食材を美味しく戻すのにも時間と技術が必要となります。乾燥から調理工程まで惜しみなく手間をかけた分、滋味深い料理が生み出されるんですね!