キュアリングとは収穫したサツマイモについた微細な傷を、さつまいも自らの力で治癒する現象のことです。サツマイモ収穫につきものの擦り傷や掘り傷。それらを放置してそのまま貯蔵してしまうと、最適な状態で貯蔵していても、傷口から菌などが入ってしまい、腐ってしまうことがあります。サツマイモは収穫、即出荷という作物ではなく、少なくとも1ヶ月〜1ヶ月半は貯蔵し、甘みを増した状態で出荷することが多く、貯蔵時のロス率が、収益に直結します。そのため、サツマイモ農家、サツマイモ加工業者の先人たちは、収穫済みのサツマイモを畑に埋めブルーシートをかけたり、洞窟内で保管したりと、キュアリング処理・保管を行うためさまざまな工夫をしてきました。まさに先人の知恵といえます。
このキュアリングの現象を起こすためには、一定期間、さつまいもを高温多湿の条件下に置く必要があります。他の作物で行われる収穫後の「乾燥工程」は微生物の繁殖を防ぐために行われますが、サツマイモの場合は、高温多湿(温度を約33℃、湿度を約90%)の条件下で、3日程度保つことによって、コルク層(植物の表皮の下にある層。細胞壁にスベリンという物質が加わってできたコルク細胞の集まり。)が形成され、腐敗や変質を防ぎやすくなります。キュアリング処理を行った後はすぐに13℃〜15℃の状態で保管します。温度が下がることにより、サツマイモ内のでんぷんがデキストリンとショ糖に変わり、サツマイモの糖度が上がり、甘く美味しいサツマイモになると同時に、低温状態にも強くなり、保管が容易になります。
生産計画・収穫量はお客様によってさまざまです。お客様の計画に合わせた、最適なキュアリング貯蔵庫を設計、施工いたします。
キュアリング庫内も貯蔵庫内も温度・湿度はセンサーによる自動管理です。手間なく簡単にお客様のサツマイモに合わせた最適な環境を実現します。
自然内でのキュアリングや貯蔵にくらべ、天候や気候などの外的環境に左右されないため生産・出荷計画が立てやすく、ロス率の軽減にもつながります。
兼八産業のキュアリング貯蔵庫は、キュアリング庫と貯蔵庫のふたつの種類の庫内で収穫したサツマイモを管理します。まずは、キュアリング庫で収穫したサツマイモのキュアリング処理(温度約33℃、湿度約90%)を3日程行い、サツマイモの傷を修復します。その後、キュアリング庫から貯蔵庫に移し、糖化をすすめ、出荷までの管理(温度13〜15℃、湿度85%〜95%)をします。3日ごとにキュアリング庫内にサツマイモを入庫し、押し出す形で貯蔵へ回すことで簡単に生産・出荷計画の管理ができます。また、庫内の貯蔵量はお客様の生産計画・収穫量に合わせて、設計・施工いたしますので、お客様に最適なプランでの出荷計画が可能です。
収穫したサツマイモをそのまま出荷した場合は、1キロ150円程度が相場の目安となります。これをキュアリング貯蔵庫で寝かせ、傷を修復し、さらに糖化させることで甘くなったサツマイモは、出荷時に1キロ300〜350円まで値が上がります。自分で育てる場合、1キロあたり110円のコストがかかっているといわれているサツマイモなので、そのまま出荷すると1キロあたり40円の利益しか生みませんが、糖化させた出荷時300円のサツマイモならば1キロあたり190円の利益があがり、そのまま出荷するよりも単純計算でも約5倍程の利益となります。ロス率を考えなければ、単純に100t出荷したら1900万円の利益を上げることができ、もっと大規模な農場であればさらに利益は増えていきます。
※数値は当社調べであり、価格・利益を保証するものではありません
また、自然環境に晒される中での保管や温度・湿度調節が不十分な保管庫に比べ、内部環境が一定の兼八産業のキュアリング貯蔵庫ではロス率の軽減につながることはいうまでもありません。自然環境に左右されづらいということは、その年、その年での差を最小限に抑えられるため、数年先まである程度読むことができ、生産・出荷の計画が立てやすく、さらには収入の安定化に繋がります。もちろん、サツマイモ農家に限らず、サツマイモ加工業者の方にもメリットがあり、今まで1キロ300円の高値でしか買ってこなかったサツマイモを、自社で育て、利益率を大きく確保したり、掘ったままの安いサツマイモを仕入れて、自社でキュアリング・糖化処理を行ったりと、事業展開に幅が出ることは間違いありません。
設計もお客様の事業に合わせたオーダーメイドなので
お客様の計画に合わせ、利益を最大化できます。
これを機に、新たな事業の形として
キュアリング貯蔵庫の導入をご検討ください。